ベトナムには陶磁器の村、籐・竹細工の村、木工品の村など、伝統的な工芸品を作る村が約400あるといわれています。そのなかで、古くからシルク織りが盛んな村で新たな試みとしてステキなスカーフが作られています。

シルク織りの村

手作りの伝統を生かしながら、村に残る織物工場で多くの人が働けるよう染色方法や原料を研究し、新しいデザインも取り入れた商品開発が行われ、生産者の生活の安定につなげられています。

シルク織りの村

シルク糸について

ご存じのようにシルク糸は蚕(かいこ)がつくる繭(まゆ)からとった繊維で、1つの繭からは数種類のシルク糸が作られます。これまでは生糸にならないものは捨てられていましたが、現在ではそれぞれの加工方法で糸が作られています。繭を真綿にして紡ぐ紬糸(つむぎいと)は丈夫で膨らみがあり、太いものも細いものもあります。繭の内側から糸を引き出してより合わせると、しなやかな生糸(きいと)になります。縦糸、横糸の組み合わせ次第で、織り上げたスカーフは手触りも風合いもさまざまに仕上がります。

ベトナムでも様々な種類のシルク糸でスカーフやその他の商品が作られるようになっています。

シルクスカーフ

紬いだシルクで織ったスカーフは、シルクの軽やかさはもちろん、ざっくりしたコットンのような肌触りと、ウールのような温かさを併せ持っています。ちょっと肌寒いときも、夏の暑いときにも重宝します

草木染めについて

これまで化学染料を使用していたシルク村で、新たに地元にある植物を使った草木染めの試みも始まっています。

生産者のクエンさんはハノイ工科大学の講師‐ホアン・ティ・リン先生の研究結果を元に、地元の村の産業発展のために独自の草木染めによる100%天然素材のシルクスカーフの製造を始めました。

クエンさんが染料にする原料は、地元の草木の実、葉や幹などで、多様な染め色を作ります。この手法で染めた生地は、使いながら何度か洗うことでさらに発色が良くなります。天然の手染めならではの風合いが楽しめます。

天然素材で手染めしたシルクのスカーフ

主な原料となる採取した草木

キンマの葉とマンゴスチンの実

赤の染め色の原料はアカミノキ。木の幹の色が原料

黄色い色は地元の植物 「Terminalia catappa」の葉

上のざる「マンゴスチンの実」、下のざる「ビンロウの実」(Areca catechu)

草木染めの主な原料一覧

使用部分 写真
黄色/灰色・黒

キンマ

キンマ(Lá trầu không)

オレンジ

アカミノキ(Thịt gỗ huyết cẩm)by Wikipedia

アカミノキ(Thịt gỗ huyết cẩm)

茶色

マンゴスチン

マンゴスチン( Vỏ măng cụt)

薄い長春色

ビンロウ

ビンロウ(Vỏ cau)

黄色/灰色・黒

モモタマナ

モモタマナ(Lá bàng)

黄色/灰色・黒

ナンキンハゼ(Triadica sebifera)

ナンキンハゼ(Lá sòi)

茶色・灰色

マホガニー

マホガニー(Lá xà cừ)

草木染の工程

結ぶ(絞り染めの場合)

煮る

染める

干す

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